そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

兄ちゃん

 人に相談するのが苦手だ。
 昔から、あまり相談することなく物事を決めたり進めたりする性質だから、
 相談したい、と思ってもその��作法�≠ェわからない。

 ある程度具体性のある出来事なら、まだいいのだ。
 たとえば、どこそこに旅行に行くなら、いつがベストシーズンか、とか。
 この仕事をどうやって進めるのがベターか、とか。

 でもまるっきり自分の問題になると、相談しようがない。
 結局、自分のやりたいように、あるいは、できるようにしか、できないから。

 でも、どうしたらいいの?というのではなく、
 ただ、話がしたいだけのときだってもちろんある。

 というか。
 特に恋愛にまつわる「相談」の大部分は、そんなもので、
 具体的なアドバイスなんて皆はなから求めてない。

 だけども、相談に名を借りて、誰かに話す、ということもままならぬときだってある。
 オフィシャル(というほどたいしたものではないけど)
 未だに私は「彼氏募集中」「いつだって恋したい」ということになっている。
 ま、後ろに「(笑)」の文字が透けて見えるほどの言い草で
 ほぼ笑い話の範疇であり、
 誰も具体的に紹介してくれるわけではないから、
 そんなふうに言っていられるのだが。

 このブログを知っている人と、親しい友人のごく少数のみ(ほとんどかぶってる)
 以外は、私が今どうしようもない状態だということを知らない。
 毎日のように顔をあわせる人だったらそれが気楽だ。

 傲慢なようだけれど、
 私は私のまわりの人が、
 自分のことを慈しんでくれているのをいつも感じる。
 最近になって、思った以上に「末っ子体質」であることを思い知らされる。
 だから、その人たちが心配するとわかりきっていることを話してまわったりはできない。

 それは恋愛に限らず、だからこそ私はもろもろの相談事が苦手なのだが、
 私をこんな状態にしている当の本人ですら、
 私のことを心配してしまっているのだから、
 第三者からしたら、もっと心配させてしまうだろう。

 恋愛をしなきゃしないで心配され、
 したらしたでもっと心配させてしまうのだから、
 しょうもない末っ子だ。

 そんな「意外と末っ子体質」である私が、唯一、具体的に相談する相手が先輩であるX氏。
 私の女としてのめんどくささを心配しつつも面白がっている人でもある。
 (このブログにもたびたび登場する先輩。)

 同じ職場になったことはないけれど、なんでか気が合う。
 ひとの恋愛話を聞くのが大好きで、
 いちばん最初に、私が彼のことを好きなのを彼自身に会ったことがないのに見抜いた人でもある。
 (話した覚えのない私の秘密まで知ってて、びっくりさせられもした。)

 そんなわけで、たまに会うと「最近どうよ?」と聞いてくる。
 
 絶好調です。
 とも、
 ゼッ不調です。
 とも、
 言い難い。

 そんなしょうもない私の話を酒の肴にひとしきり盛り上がったあと、
 「おまえ、ほんとにおもしれーなー。オレが、ダメダメ、って思った方向にまんまと行くなあ」
 なんて言ったりする。
 顔がめちゃくちゃ嬉しそうにニヤニヤしてる。
 こんな風に私のしょうもなさを面白がってくれる人だからこそ、
 わりに気軽に話せるのかも知れない。

 男友達が皆無の私にとっては男の視点を教えてくれる貴重なご意見番でもある。
 だから、めずらしく、やけに具体的に相談してしまう。
 聞き出すのがうまい、と言ったら
 オマエが話したかっただけだろー!と言われる。
 そりゃ、そうなんだけど、その引き出し方が絶妙で
 ここにも書いてないようなことまでつい話してしまったりする。

 先日もそうやって、軽く飲んで、
 一人で抱えきることができないようなことを聞いてもらって
 少しだけ身が軽くなった帰り道。
 
 ケータイのメールのタイトルは
 「がむばれ」

 本文に、おどけた絵文字と一言、
 「兄ちゃんは心配だよ」

 いろんな人がしてしまうだろう心配の大部分をこの人におわせてしまってる。
 リアルな兄にさえ相談しないことを相談してしまっている。
 

 私の相談をやたらにわらって聞いたあとに、
 やっぱり笑顔のままで言うことがある。

 「オレは、オマエの不幸とか、しょえないけど、
 ダメになったら一緒に飲むくらいはできるよ」
 
 正直者すぎて、厳しい意見に、たまーに、傷つくこともある。
 そこはあたりさわりのないこと言って、流してほしいときに
 スパッとえぐるようなことも言ってくる。
 ソフトな語り口とは裏腹に女に対してはやけにシビアなことで有名な彼は
 それでも、やっぱり、優しい。

 兄ちゃんに、あんまり心配かけてはダメだなあ、と思う。