そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

転職

 二人でいてもあまり甘ったるいトークはしない。
 だいたいは、仕事の話ばかり。

 今日もそんな感じに色気のない話をしていて、不意に会社の未来に不安を感じる。
 「5年後にうちの会社あるかなあ」
 「つぶれないでしょー」
 「転職先、考えとこうかな」

 すると、不意に。
 「小説家になったら?」

 笑いながら言う。

 彼は私がこんな風に文章をかいてるのはもちろん知らないので
 ぱっと思いつき程度に言ったのだろう。
 そのときに、私の部屋で無造作に詰まれた本たちに囲まれていたから、
 そんなことを思ったのかもしれない。
 ともかくも、ばかばかしい提案に笑いながら、
 「小説なんて書けないよー」
 と返事する。

 そして心の中で
 「自分のこと書かれたりするとか思わないのかな。いやじゃないのかな」
 とふと思う。

 たまに、男の人は、無邪気すぎて恐い。
 もう、書かれてるのに。