そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

水泳教室

 ひと月のちに彼のことをもう好きでない自分を想像してみる。
 なんとなく想像できたりする。
 深すぎる水に溺れないための泳ぎの訓練のようなものだけれど、実際に、水に放り込まれると、いつもじゃばじゃばと足をもたつかせてしまう。浅いものだったとしても。

 いつでも、薄くベールをかけた現実が目の前にはあって、それのベールをたまにめくりかけてみる。そしてまた戻す。

 現実はいつも想像を裏切って行く。
 いいほうにもわるいほうにも。

 いつも最悪の想像をするんだよ、と言うと、
 最悪なんてないよ、と言われる。
 私よりもずっと悲観的で疑り深い性格だと広言しているくせに、そう言う。
 
 彼が私の全てを読んでいるかのような感覚に飲まれそうになる。

 どこまで、私のことをわかっているんだろう?
 わかってない、が前提。
 どこまで、私のことを見てるんだろう?
 見ていない、が前提。

 それなのに
 前提、という想像を裏切られる。

 もう一度、
 ひと月のちに彼のことをもう好きでない自分を想像してみる。

 まだ想像できる。

 でも、それは想像が裏切る、ということを知ったうえでの想像だ。

 目の前に広がるのは果てしない海ではない。
 それなのに、浅い水にそっと足をひたしていても、いつか溺れてしまう気がして、泳ぐための訓練をするのが馬鹿らしい気がしてしまうのだ。

 ただもう、泳ぎだすしかない。