そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

見てないようで見てる

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 「見てないようで見てる」(THE YELLOW MONKEY/作詞作曲:吉井和哉)は、最初聞いたときはイマイチで、プロモを見てるうちに好きになった曲。だからか、歌詞も気にせずテキトーに、メロディだけで聞いてたけど、最近吉井和哉がソロで久々に歌ってるのを聴いたときに「歌詞もいい曲だな」と思い始めた。

 「見てないようで見てる」は吉井さんの詩にしては、(もちろん、棘はありながらも、)どこかしあわせな気分に満ちている。

 最近ではどっからどう見てもばればれの恋をしている私ですが、相手の仕事が「見る」ということが軸になっていることもあってか、この歌詞が妙に響いてくる。

 もちろん、これは男性が恋する女性のことを歌っている歌なので、さすがに、「彼が私のことを思ってる歌なの!」とかイカレポンチなことを言うつもりは全然なくて、ただ、「あー、『見てないようで見てる』人だなあ」と思っただけなんですけどね。

 あるとき。
 会社の先輩の送別会で、その人のやってきた仕事が、ずっと会場の前方でスライドで流れているのを独りでぼーっと、というかじーっと見ていたのだ。そのとき、ほとんどの人はいわゆる「ご歓談中」な状態で、誰も私を気に留めた人はいなかったと思う。しばらくしてから、誰かに話しかけられたのと、スライドがぐるりと一巡したところだったのとで、見るのをやめた。時間としてはそんなに長くはなかったと思う。

 二次会、三次会、と流れて、お開きになった。四次会に行きそうになる流れから、すっと抜け出し、二人でとぼとぼと帰路についた。そのころ、自分は仕事に対してのモチベーションが下がりまくっていて、だからこそ、その日やめてしまう先輩の仕事ぶりが胸に響いて、どうしようもなかった。あんなにスゴイ人がいるいっぽうで、自分は何ができているのか。そして、どうしてこんなに何もできないのか。その悔しさでいつもよりもお酒を飲んで、よろよろだったから、少し彼にカラムようにして、話していたように思う。

 私ね、ずっと、スライドで●●さんの仕事見てたんですけどね、と
 言いかけたところで、それまでたまに相槌をいれる程度で黙って私の愚痴を聞いていた彼が言った。

 知ってますよ。見てましたから。
 ずっと、見てましたよね。

 全然そんなそぶり見せてなかったのに。
 その日は目があわなかったし。

 ちょっと呆然とした。

 実は、私は、もう彼のことを想うのをやめようと決意して一週間以上も経っていたものだから、会場で、目があいそうになっても、するりとそらしていたから、目があうわけもなかったのだが。

 けれど、それで、なんだか、胸がいっぱいになって、なんでかそのあと泣いてしまった。
(泣いたのと、このことは直接関係はなかったけど、必要以上に気持ちが高ぶったせいだと思った)

 あー。私は、私のこと見ていたこの人が好きだ。
 見てないでようでなんでも見てる、この人が。
 そう思ったのだ。

 それは、そのときだけの勘違いな気もしたけれど、それからしばらく、適当なふりをした慎重な会話をしてても、ますますその人の「見てないようで見てる」ぶりがあきらかになってきて、それは勘違いではなかったと想うようになった。それはまだ続いている。

 自分でも馬鹿だなあ、と想うけれど、それ以来MP3のシャッフルモードでこの歌がかかると妙に聞き入ってしまう。歌詞のこの部分が耳に飛び込んでくる。

「『ほんとは見てた』と言おうぜ」「……ととと遠回しに『好きだ』とか」

 あー、つくづく、吉井和哉と彼とに踊らされてる気がする。。。

 私自身ははとおまわしどころか、かなりドストレートにいってしまってるみたいなもんだし。
 私も、も少しだけでも「バレナイヨウニミテイタ」人になれるとよいのだが。。。