そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

せんびきのひつじ

 眠れなくて遠いところにいる人にメールした。
 すぐにかえってきた。

 こんな時間に起きてたの?それとも電波がわるくてメール到着が遅れた?
 
 時差を気にするなら、当然この時間、寝ていると想定しているだろうにすぐにレスがきたということは起きてると思ってメールしてるんだな。めざにゅーみて寝るところ、と返すと、早く寝なさい、お肌に悪いから、といわれる。

 それがなんだか眠れなくて.
 と、ちょっと心配される。
 でも、眠くなってきたら、このメール見てもレスしなくていいよ、といわれる。

 いつもだいたい寝不足な私のことを心配してくれがち。
 優しいのが嬉しい反面、メールおわらせたいのかな、と思って、ひつじを千匹数えてようやく眠れるくらい、とどっちの意味にもとれるメールを送った。

 いまから千匹は数えられるよ、という意味にとるか、
 もう千匹数えたところ、という意味にとるか。

 それまで即レスだったのが、シーンとしている。
 後者にとったかな、と思ってふとんを頭からかぶろうとしたところで、ケイタイがぶるぶる震えた。



 千匹も数えてたら、朝になっちゃうよ。
 でも、眠れないのなら、千匹分のメールをしようか。

 

 そんなこといわれたら、眠れるものも眠れません。
 ふとんのなかでひとり携帯をにぎりしめてバタバタした。 

 それから、一緒にひつじを何匹か数えて、お互い眠ることにした。
 けれど、それから、何匹数えても、全然眠れなかった。
 千匹どころか、一万匹でも数えられそうなくらい。
 いや、どきどきしたせいで、たぶん数え間違っているから、その数え間違いを最初からやりなおして…。
 
 ぎゅうぎゅうのひつじに囲まれて、朝の光の中、すこしだけ眠った。
 夢は見なかった。夢は眠る前に見た。
 でも、起きてケイタイを見たら、夢じゃなかった。