そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

わるいやつら

 好きな人はわるいやつ。
 ナチュラルに嘘をつく。「うそつきでしょ」と言うと「嘘はつかないけど、ほんとのこともいわないよ」とかえされる。そういうのを、うそつき、って言うんだよ。わるいやつだね、と言うと、わるくないよ、と言う。ほら、今嘘をついた。

 体中に満たされた酒精の勢いにのって、今まで聞きたかったことをたくさん聞いてみた。言いたかったことをたくさん言ってみた。拍子抜けするほどに答が返ってきて、そして、話がつながった。

 うそつきなのに、誠実なんてめんどくさい。

 私もまた嘘をつく。
 好きだ、なんて言わない。けれど、明らかに、好きでなければでないような言葉をはく。
 ほんとうのことはいわない。けれど、ほんとうのことをいう。

 私たちは、そんな風に夜通し、思春期の少女同士のようにしゃべり続けた。
 気がつくと朝が来ていて、雨が降り始めていた。
 かえろうか。
 
 24時間営業の店を出て、すぐ近くのコンビニまで、急ぐでもなく、濡れながら歩いた。
「傘、いっぽんでいいか」
 大きなビニール傘を手にとってレジまで歩くその人をぼんやり入口のところで見守る。
 その傘は、二人が触れるか触れないかの距離で並ぶに十分な大きさで、妙にくすぐったい気分になる。ムードもなにもない朝の喧騒が、逆に心地よい。この距離でいい。
 
 家まで着いたところで笑顔でわかれた。
 どろどろにとけそうな体をクッションにあずけていると、携帯が鳴った。
 
 おやすみ。ゆっくり寝てください、というメール。
 これはほんとのことね、と思いながら、ありがとう、とメールを返した。
 これもほんとのこと。