そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

ドア・イン・ザ・フロア

 『ドア・イン・ザ・フロア』を恵比寿で観る。今年は私には珍しく恵比寿で映画を観ている。観たのは『ライフアクアティック』『皇帝ペンギン』『ハッカビーズ』ときて、これで4本目。恵比寿で見るのは年に一本か二本なのでこれは多いほう。

 観よう、と思っててもなかなか行かないので今年は前売り券を買う、という手法を導入(えらそーに)。これだとせっかく買ったんだからさーという圧迫感で必ず行きますね。観たいだけだとなかなか時間つくろうとは思わないので。というわけで、今年恵比寿で見たのは全部前売り券買っていったのだ。今回観た『ドア・イン・ザ・フロア』も、『ライフ−』を見に行った時に予告編にひかれて『ハッカビーズ』とともに買ったのだった。
 しかし、どれも上映終了ぎりぎりに観てるなあ。

 原作は『ガープの世界』『サイダーハウスルール』『ホテルニューハンプシャー』などで有名なジョン・アーヴィングの『未亡人の一年』。この作品の上巻を映画化したものだそうだ。だそうだ、ってことで当然原作はまだ読んでいないのだが、上映後に映画館で売ってた文庫をみたら、上巻のあらすじ最初の三行で映画のストーリーが全部説明されてた(笑)。前に出た単行本のものをそのまま使ったらしいが、映画化にあわせて文庫にしたんなら、ちょっとは変えたほうがよかったんじゃなかろーか。映画館もそのままポップでストーリー全部書いちゃってるし!それってどうなんだろう。
 このへんはソコ嬢にきっていただくとして(笑)、映画自体はたいへん楽しめました。前半がたるくてどうなるかと思ったが、後半はけっこう心を揺さぶられたなあ。映画だけでも楽しめるけど、登場人物のその後が気になるので、原作も買って読もうかなと思っております。 

 以下、ネタばれ含む感想です。  原作のタイトルは『未亡人の一年』なのだが、キム・ベイシンガー演じるマリオンが亡くしたのは夫ではなくふたりの息子。家中に飾られた彼らの写真を見ながら、「死ぬって壊れること?」と少女がつぶやくところから映画は始まる。つぶやいた少女は、息子の死後に生まれたマリオンの娘、ルース。
 ルースの父、マリオンの夫であるテッドは小説家。『ドア・イン・ザ・フロア』はテッドが書いた絵本のタイトルでもある。マリオンとテッドが別居し、一週間交代でルースと住むことを決めた夏、テッドのもとに小説家志望の青年エディが住み込みでバイトにやってくる。テッドの代わりに迎えに来たマリオンに一目でこころひかれたエディはマリオンに欲情する。そしてそのシーンを当の本人に見られてしまう。けれどそのことで逆に心を通わせるようになったふたりはやがて結ばれるが、ある夜ルースに目撃されてしまう。テッドはそのことを知り怒るが、彼自身もまた絵のモデルのヴォーン夫人と浮気をしている。

 ともに過ごしたことのない、生まれる前から失われているふたりの兄の生前の写真に固執するルースはある時、写真のパネルのガラスで指を切ってしまう。その夜、悪夢を見たルースは母を求めて泣く。手に負えなくなったテッドはマリオンを呼ぶが、マリオンは自らがよき母であるという自信をなくしていた。家を出ることを決めたマリオンは、そのためにあることを計画する……。

 前半は特殊な夫婦の生活の説明のためもあって少々かったるいつくりで正直はずれかと思ったけど、ルースにエディとマリオンの情事が目撃されるところから俄然話が動き出す。後半はぐっと心を揺さぶられた。(原作に書かれているであろう)その後の彼らのことが気になりつつも(もっともこの時点では長い原作の前半部分のみの映画化とは知らなかったのだけど)、ひとつの映画としての余韻がきちんとある。

 ただ物申したいこともある。キム・ベイシンガー。たしかにキレイなんだけど、アップになると皺がね…いや美しい年のとり方をしているのだが、とてもお下品なことを申し上げると、チェリーボーイのエディぢゃたたないと思うんですけど。(とも思ったけど、まーでも、やっぱりキレイ。無理のない歳のとり方でしかもそれがキレイ。)

 あと、もうひとつ、この映画R-15指定なんですけど、肝心のそのシーンのときにありえないスリガラスモザイクが入ってたんですよ!いやモザイクがはいってることに抗議したいのではなく、下半身全体にどーん!とはいってて、映像美もぶちこわしになってる。物語に引き込まれてるのがガコーンと引き戻されて、「え…これ、そうゆう目的で観てる映画じゃないんですけど…」って感じでドン引きしました。キム・ベイシンガーだってそれこそ体当たりでこのシーンに臨んでるはずなのにこんな処理のされ方は本意じゃないでしょ。このモザイクの入り方のせいで、このシーンだけ妙にやっすい映画になって、全体のクオリティまで落としてた。

 とここまで書いて思ったんだけど、もしかして昨日ヤプログの記事がアップの際に消えたのってなんか規制にひっかかったのかなあ…。