そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

深夜、タクシー、彼氏。

 久しぶりに声をあげて泣いた。タクシーを降りて、オートロックの鍵をあけて、エレベーターに乗り込んだあたりからこぼれだした涙は、玄関の中に入るやいなや、もうどうにもとめようがないくらいにあふれていた。

 突き動かされるものに耐え切れずしゃがんだけれど、そうやって泣きながら、ようやく今いるこの家が自分の場所になったのだと思った。どんなに泣いたっていいんだ。ここがわたしの家なんだと思った。

 でもそうやって慣れた家を出ていままた新しい場所に移るべく家探し中。候補地に住む会社の先輩に通勤時間や周辺環境のリサーチをしてみたり。しかし、今の候補地、会社の人がすげー多いのよね。日曜とか通勤時に会ってしまいそうだ。

 深夜、仕事をしているとちょうどその地区に在住の上司に会ったので、「こっから家までタクシーで何分ですか?」ときいたら「なに、彼氏が住んでるの?」と間髪いれず言われた。全然違うんだけど、そういう発想にすぐなれるところがある意味すげーと思った。あまりにさらっと言われたので思わず「そうなんですけどね」と認めてしまいそうになった。違う、俺はやってない!(何を)

 正直に、現在引越しを検討中であるむねを告げるとえらくおすすめされる。食べ物屋もいっぱいあるよーとか。物件探してるんですけどねーと言うと、会社の別の先輩の住む家の二階が空いてるといわれる。「ぜっったいイヤ」と答えてその場を去った。かつて会社のワルは誰かトークをしていたときに真っ先に「一番腹黒いのはFさんだよ」って言っておきながらそのFさんの家をすすめるってアンタ。いつも会話に出てくる人脈がダークすぎるんだこの人(笑)。こえーよ。  そういえばFさんは入社したての頃、一緒に組んで仕事をしたときに泣いてしまったことがあった。ちなみにパニックになるような仕事でもなく、Fさんに説教されたわけでもなく、ただ自分のふがいなさに泣けただけなのだが。

 そのときは悪いことしたなあと思ったけれど、謝る機会がなくて、今に至る。あれからお互いいろいろ人生もかわったはず。入社した年の終わりに「今年はお互いいい年じゃなかったね」ってなぜか私に言ったFさん。最近見ないけど元気かなあ。
 入社したての頃は会社でも悔しいこと哀しいことがあるとトイレでピーピー泣いてたものだけど、いつのまにか強くなってきた気がする。なじめなくて会社で泣いてたころ。親が心配するといけないと思って家でも何も言わずにただ働いてきた。実家を出て一人暮らしになって、自分の家で思い切り泣ける。だれにもどうしたの? って言われないことは孤独かもしれない。けれど、自由だ。

 自由ゆえに孤独にも少し飽きて、今度は友人と暮らそうと思っている今日この頃。
 さて、いい部屋が見つかるといいな。