そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?

 南仏三日目。ゆったりのんびり眠って、ホテルをチェックアウト。旧市街で朝兼昼食。イタリアンでピザを食べる。これがめちゃうまだった。そしてお店のおねーさんがとてもかわいかった。ニースはイタリアに近いせいか、イタリアンが多かったデス。ちょっとフランス的肉料理に飽きていたので、シーザーサラダとピザのうまいのに感激。むかいの店にいる家族連れのたのしそーなのを眺めたりしてのんびり。
 飛行機まで少し時間があるので、ニース近代・現代美術館へ行く。コンテンポラリーアートがたくさん見られる。わかるやつもわからないやつもたくさん。今回パリでは美術館に行くつもりがなかったので、ニースでいろいろいけたのはよかった。シャガール美術館にも行ったことのあるMの感想「ここがいちばんいい」。
 というわけでコンテンポラリーアートが嫌いではない人にはおすすめです。
 そろそろ出ようかというところで雨。雨宿りがてら、すぐ隣にある図書館に入ってみる。映画関係の本がすごく充実していたのはさすが。「アンジェリーク」というテレビドラマの本があってぱらぱらみた結果、木原敏江が漫画化していた「アンジェリク」だと気づく。っていうかさらに調べてたらこんなの発見。そうそうこのビジュアルでした!原作は読んだこと無いけれど(26巻という時点で萎えた)漫画はけっこう面白かったです。宝塚の舞台にもなったとかで、宝塚ファンの子が貸してくれたのを気に入って自分でも買いましたです。けっこう木原敏江はおもしろいのよん。
 そういえば図書館で、近代美術館にもいた日本語のTシャツを着たお兄ちゃんをまた見つけてしまった。ちなみにTシャツには「盆栽」と書いてあった。なぜ…。おしゃれなのか?

 すこし小止みになったところでホテルに戻る。20分遅れのバスに乗って空港へ。帰りは特にトラブルも無くパリへと戻れた。ビンボなのとけっこう遅い時間になったので、CDG空港で夕飯を食べて帰ることに。場所は…またしてもマック! 思えば南仏はマックにはじまりマックに終ったのでありました。  明日から友人は仕事でまた南に行くというので仕度をしている。私は暇なので持ってきた笠井潔の「薔薇の女」を読みつつ眠る。途中まですごく面白いんだけどラストあたり、いや、でもこれはねーだろ、って感じの小説でした。しかしフランス的雰囲気は楽しめたのでよしとする。
私の好きなミステリーの雰囲気をふんだんにたたえながらも最後の息切れっぷりがたまらんわ(悪い意味で)。でも、とりあえず、

母さん、僕のあの小説、どうしたんでせうね?
ええ、夏、成田からシャルルドゴールへゆくみちで、
飛行機へ忘れてきたあの『黙示録の夏』ですよ。

母さん、あれは好きな小説でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり眠気がおそってきたもんだから。

母さん、あのとき、向こうからフライトアテンダントが来ましたっけね、
紺の制服にスカーフを巻いた。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね(ウソ)。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ気づかなかったんですもの。

母さん、ほんとにあの小説どうなったでせう?
そのとき一生懸命やっていた『太鼓の達人』は
もうとうにクリアしちゃったでせうね、そして、
秋には、フライトアテンダントがあのシリーズを読み、
あの小説の下で毎晩犯人さがしをしていたかもしれませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの小説のつづきを、笠井潔が書いているでせう、
昔、つやつや光った、あのちょっとよくわからん表紙と、
その裏に僕が書いた
N.Yという頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。


って感じでなくしちゃった『サマーアポカリプス』をもう一度買って読むことにします。これがシリーズ中の最高傑作らしいですし。ちなみに、本と一緒に、5年前に買った、帽子もまじで忘れてしまった(ことをいま思い出した)私でした。フランスでの日よけに持ってったのに…行く機上でなくすって…。