そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

旅の達人にはなれないが

 実は、今回の旅は人生初の海外一人旅なのだった。チケットとりすらも同行者任せだった私にはなかなか難易度の高い出来事である。しかも、直行便がとれなかったので、乗継便。英語もほとんどできない私にとって海外の空港での一人乗り継ぎはそれだけで不安だ。
 不安はいきなり形になって現れた。自分のシートに、アジア系男性がどしーんと座っているではないか。ううう。チケット確認しろよー。と思いつつ、超カタコト英語で、そこが自分の席であることを訴えると、二人連れのうち一人が席を立った。が、私は窓側の席を指定したのであり、そこには依然として一人が座っている。もう一度、今度はチケットを見せつつ訴えると、ようやくどいてくれた。離陸前からこんなに疲れてどーする。とりあえず寝ようと思ったが、機内食やらドリンクのサービスがまわってきてからにしようと思いこらえる。また、今へたに寝ては、香港からの12時間が辛い。キャセイパシフィックは香港の航空会社なので、サービスは英語である。「ドゥーユーウォントサムドリンク?(てきとーです)」「ウォータープリーズ」とか言っちゃって、ごくごく飲んでいると、おねえさんは私の後ろの席の日本人に「なにかおのみになりますか?」と日本語で訊いていた…。若干複雑な気持ちになる。どうやって日本人とそれ以外のアジア系とを見分けているのか気になるところです。
 4時間ほどで香港に到着。乗り継ぎも超スムーズに終わり(乗り継ぎ用の入り口を通ってセキュリティチェックを受けるだけだった…)出発までの4時間近くを、免税店を見たりして過ごす。が、すぐに飽きる。なにしろわたしは今貧乏なのである。カードの引き落としに入金が間に合わなくてとめられちゃうかもだし、そもそも手持ちのお金があまりないし、しょっぱなから荷物増やしたくないし、ということでお買い得な香港空港免税店にいたって心踊らない。
 SHANGHAI TANというかわいーショップに心はひかれたものの、諦めて、GATEに向かう。暇なのでPSPをやる。   
 最初、なにか買う気で香港ドルのレートを先輩の新居でパーティをしている同期にメールを送って尋ねた流れで、だらだらと無駄に国際ローミングしていたが「今買い物しているの?」という問いに「太鼓の達人目指してます」と返答したら「ほんとに香港にいるの?!新宿のゲーセンじゃないのか?」というツッコミがその場に居た全員から入ってしまった。太鼓の腕前が若干あがったところで搭乗開始。飛行機に乗り込み即睡眠…と思ったが、12時間ずっとは寝られないので、とりあえず読書。友人からパリ旅行に備えての再読を進められた「矢吹駆」のシリーズ「サマー・アポカリプス」を読み始める。機内食キャセイパシフィック、うまいっす!しかし、デザートが二連荘同じだったのは残念)を食べてお腹が膨れたところで、さすがに不眠状態も維持しきれず、途中まで読んだところでダウン。
 途中、起きて、また太鼓の達人を目指してしまったが無事、飛行機は、パリにほぼ定刻どおりに着いた。(しかし結局読みかけの本を機内に忘れてきてしまったらしく、サマーアポカリプスは読了できず…)
 Mは朝早く起きて空港まで迎えに来てくれていた。彼女が出発するのを見送った成田以来だったので感動の再会! とおもいきや「なんか同人女みたいだねー」と言われる。確かに機内で過ごしやすいようかなりラフな恰好だったし髪も出発前のあれこれでぼさぼさだったけど…最初の一言がそれかい(笑)!
 フランスは想像よりずっと涼しい。バイブル「パリパリ伝説」によれば二年前は猛暑だったというが、今回の旅はどうやら過ごしやすそう。というか…寒い! Mのおごりでコーヒーとクロワッサンの簡単な朝食をすませ、エールフランスのバスでパリ市街へと向かった。二人とも早起きだったり睡眠不足だったりで久々の対面だというのに「眠いねー」ばっかりになってしまったが、30分ほどで、M宅に近いポルトマイヨーに到着。バスを降りると、まだまだ寒い朝の空気に目覚めた体に、ようやく旅気分が満ちてくるのだった。