そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

旅はまだ全然始まらない

 フランスで業務研修をうけている友人Mに会いにパリに行くことを決めたのはもう半年も前のことである。最初はゴールデンウィークに、と思っていたのだが、なんやかやで夏休みにいくことにした。かつて「これ以上仕事したら死んじゃいます〜」と弱音をはいたとき「死んでくれ」と言った上司に十日もの休みの取得を宣言するのは容易なことではなかったが、意を決して宣言するやとてもあっさり許可をもらう。イエイ。とはいえ、十日も休むのだから当然そのツケは前後にやってくる。出発は8月6日午後五時の便。なのに、5日の仕事を終えて帰宅したのは午前三時。そこから部屋を片付けて、荷物をつくりはじめた。終ったのは午前七時頃。しかし今から寝ては、万が一寝過ごしたときが怖いし、なによりも、旅行当日だというのに私の準備はこの時点で未完であった。友人に頼まれたもろもろの日本グッズやら、もっていく手土産やら、デジカメやらを買っていかねばならない。デキル女は旅行当日にデジカメ買わない。しかし私は買う。というわけで買出しのため朝から新宿。リミットは二時間。まずは紀伊国屋書店で仕事相手に頼まれた本と友人に頼まれた漫画を買う。この日買った漫画:しゃにむにGO1〜3 ハヤブサ 花の宴 シャルトル公爵の愉しみ1 ディアマイン1 スロップマンションにお帰り スティールボールラン5 銀魄8 ルナティック雑技団1〜3 赤字が持ってったもの。 友人のリクエストは「しゃにむに」と「美少年が出てくる漫画」ということだったので適当にチョイス。六本木綾は個人的好みだったのだけど読み切りなのでフランスで読んで続きが気になって…という悪循環にはまらずよい。シャルトル公爵シリーズは文句なしに美少年が出てくるし、なにしろおフランス(が舞台)漫画だった、そういえば。これも続き物だが、一話完結の連作なので、一冊だけでもよかろう。高尾滋2冊とジャンプコミックス新刊は個人的好みだが、漫画は見つけたときに買わないと忘れてしまうので購入。問題はあーみんである。いやあーみんが問題なのではないが、なぜフランスにルナティックなのか。自分で自分がわからない。にゃにゃにゃにゃーい。まあ天湖森夜は美少年だし、フランスで日本の笑いに飢えている友人のことを思うと、このチョイスはなかなかのものだ(自画自賛)というか、三巻ともきれいにヒラ積みされているのをみて思わずムラムラ来ちゃったのさ。あーみんがおれを呼んでいたのさ。本屋の店員だって、土曜日の朝っぱらからこんなに漫画を買っている目の前の女が、夕方にはフランス行きの飛行機に乗ってるだなんで思うまい。(乗継便なので正確には香港行きだったけど)
 ミッション1・2を終えた後、今度は隣のビックカメラに。何度か事前にパンフや店頭でチェックしてあたりはつけていたもののいざ買うとなるとやはり迷ってしまう。しかし旅行なのでスタミナを重視して結局カシオのエクシリムに決定。一度の充電で400枚、3時間以上の撮影可能というところが○。ポイントを使ってさくっと購入。それから海外用プラグを買って用事は済んだはずだったのに暑さと不眠で頭のどこかのねじがふっとんだ私はなぜか「太鼓の達人ぽーたぶる」を買ってしまったのだった。自分で自分がわからない。にゃにゃにゃにゃーい。せっかくコンパクトにまとめた荷物にPSP入れてどーする俺?!(オダギリジョー風に)
 しかもニンテンドッグス中なためDSも持っていかなきゃならない。25歳独身女の一人旅の荷物としてどーなのこのラインナップ。
 とかやってるうちに12時になり、いったん帰宅して荷物をまとめ、家を出たのは1時前。この時点で、当初予定していたNEXに乗り遅れケテーイ。しかも家を出た瞬間に気がついたがキャリーの持ち手が異常に短い。子供サイズかこれは!!!というツッコミを入れざるを得ない短さ。全員成人全員160センチ以上の我が家の誰がこれを買ったのか。自分で自分がわからない。にゃにゃにゃにゃーい。と同じギャグは三度まで遠足のおやつは300円まで(バナナは含まず)いやこの時点でつっこみいれてる余裕がないほど短くて、荷物を運びやすいように傾けられないし、最大の長さでもやや中腰気味じゃないと引きずれない。なおかつ、最後に突っ込んだ本のためにバランスが異常に悪く、ちょっと気を抜くとすぐ横に倒れる。という最悪な状況のなか新宿駅に半死状態で到着したのだった。
 旅慣れない25歳独身女の一人旅は、まだ、全然始まらない。