そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

ため息は白い雪に溶けた

 歌舞伎座義経千本桜」「鷺娘」「研辰の討たれ」を観る。どれも大変素晴らしゅうございました。なかでも玉三郎の「鷺娘」はあまりの素晴らしさに思わず涙が出そうになった。しかし泣いては前が見えぬとがんばって目を凝らしてた。テレビで見る玉三郎は正直好きではないけれど、舞台上の玉三郎は妖艶で可憐で、とにかく美しい。ひらひらと舞う雪の中で息絶える悲しい「娘」に、舞台を見る誰もがとりこになっていた。とかくと「大げさな」と思われるかもしれないが、ほんとうに、呼吸をするのが苦しいくらいだった。ため息すら惜しいほど、この身の中で感動に震える「気」を逃したくなかった。息を止めてしまうほどに魅入られた。

 野田秀樹版「研辰の討たれ」はとにかく笑えた。(ほんとうは哀しいお話なのだけど)劇中に「ジャンガジャンガ」や「〜ですからー。残念!」などというテレビでおなじみのギャグが飛び出したり、竹内結子との結婚が決まった獅童を茶化したり、「真夜中の弥次さん喜多さん」ルックの七之助が登場したり、時事ネタ多し。豪華絢爛な舞台と役者に眼福とはこういうことかと実感。
 歌舞伎の舞台には魔法がかかっていて、そこに行ったら喜んでその魔法にかかっちゃうのだ。ときめきだらけの四時間。ラクーアにいったおかげもあって、長時間見ていても体がこらず、舞台に集中できたのもよかった。ははは。