ララバイ
一緒にいるときになんにもしない、というのはぜいたくなことで、貧乏性の私はその時間がもったいなくて、つい話したり、あれこれしたくなるけれど、彼は万年睡眠不足の私に対して、いつも、早く寝なさいね、寝なきゃダメよ、というお母さんみたいな人である。ただ純粋に、睡眠をとるために寝る、ことをすすめられる。
一睡もしていない私の顔を見て、ただ純粋に寝かせるためにベッドに放り込まれ、上から布団をかけられたりしていると、この人はしまいには子守唄とか歌いだすのではあるまいか…と思うが、さすがにそれはせず、でもやっぱりお母さんみたいに、ぽんぽん、と頭を叩いたりする。そしてまぶたを閉じないと怒られる。20何年も昔の記憶が蘇りそうで、よく見ると顔もちょっと母に似ている。あら、私ってばマザコンだったのかなあ、と思うけれど、昔はお母さんにくっついて眠るのが好きだったなあ、そういえば。好きだったどころか、そうしなきゃ眠れなかった。今は独りのほうがよく眠れるけれど、誰かが自分の睡眠を心配してくれるというのはありがたいことで、ただ眠るだけの時間はやっぱりぜいたくなことだ。
一睡もしていない私の顔を見て、ただ純粋に寝かせるためにベッドに放り込まれ、上から布団をかけられたりしていると、この人はしまいには子守唄とか歌いだすのではあるまいか…と思うが、さすがにそれはせず、でもやっぱりお母さんみたいに、ぽんぽん、と頭を叩いたりする。そしてまぶたを閉じないと怒られる。20何年も昔の記憶が蘇りそうで、よく見ると顔もちょっと母に似ている。あら、私ってばマザコンだったのかなあ、と思うけれど、昔はお母さんにくっついて眠るのが好きだったなあ、そういえば。好きだったどころか、そうしなきゃ眠れなかった。今は独りのほうがよく眠れるけれど、誰かが自分の睡眠を心配してくれるというのはありがたいことで、ただ眠るだけの時間はやっぱりぜいたくなことだ。