そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

泣かない女はいない

 昔に比べてちょっとやそっとで泣かなくなった私。
 前はつらいことがあると、道を歩きながらでもわんわん泣いてたこともあったのに、
 昨日は、昔だったらそーとー泣いてるかも、という出来事のあとも、泣かずに家までの道を歩ききった。
 家に帰って、安心して泣き出すかも、とも思ったけれど、それもなく。

 買ってきたお弁当をやけ食いに近い形でかっこんでいると、
 マナーモードのままにしていた携帯がブーンと鳴った。

 今日はもうあの人からのメールは来ないだろう。
 電源落としておこうかな、と思ってカバンに放り込んだのをわすれていた。
 
 どうせスパムだろうな、と思って取り出して見ると、彼からだった。
 そのメールを見て、間抜けなことにエビフライを口にくわえたまま、私は泣いた。
 泣いた、というか、涙がぼろぼろと零れてきた。

 数時間前に、私が「涙しか出ない」と送ったメールに対して
 「泣かないで」とあった。
 そのときは泣きそうなのをこらえきったのが、
 泣かないで、といわれて泣いてしまう間抜けさ。

 二人の間にある、どうしても無視できない問題に、はじめて向き合った夜だった。
 向き合ううちに、こらえきれずに、私は逃げたけれど。
 自分の気持ちだけぶつけて、逃げたのだ。

 泣かないで、のあとには、ずっとずっと言ってほしかった言葉があった。
 彼が私に向き合ってくれたことをしめす言葉だった。
 それを見て私はしばらくぼろぼろ泣き続けた。
 やけになって飲んだビールのせいだろうか。
 そうでないことは、実はわかっている。

 この涙は、嬉しいだけではないけれど。

 この涙がこぼれた瞬間のことを、いつまで覚えていられるだろう。

 涙に溺れきらない程度には、大人になれていることを願いながらも、
 少しだけ、涙が流れるままにしていた。

 ありがとう。泣かされた相手に、はじめて感謝した夜だった。