ビチビチ

日テレドラマ版「火垂るの墓」　

　ジブリアニメ「火垂るの墓」の言えば今や「泣ける映画」として五指に入るだろう名作。ナンシー関がかつて「最近の若い人と話してるとみんな絶対『火垂るの墓』は泣けるって言うんだよね」となかば揶揄するようでもあり、単純にいぶかしむようでもありましたが。
　たしかに「火垂るの墓」は泣く。ぜったい泣く。節子が「うんこびちびちやねん」って言うだけで泣く。そんな、名作に対して、こんな言葉は言いたくなかった。だから小声で。

　クソドラマ…。ボソ　

　CMでもバンバン流れてましたけどラスト間際「戦争とはこうゆうことなのよ！」って叫ぶ松嶋菜々子に思い切り萎える。アホか。戦時中にこんな啖呵切れる一般人がいたんかいな。しかも疎開組。節子役の子役が最後ものすごいいっちゃった目で迫真の演技をかましてたのには感動したけど戦時中だっていうのにふっくらつやつやとこぎれいな松嶋菜々子のどこに悲惨な戦争の事実を見ろと言うの。
　しかも松嶋菜々子と井上真央の親子コンビが「花より男子」ではコミカルな演技。あまりにもタイミング悪いキャスティングにさらに萎え。

　で、わたし見たのは夜の11時からなんですけどｗ　あとで見たら松嶋菜々子は初の悪役に挑戦とか言われてたらしいね。あ、悪役ぅ〜？　松嶋菜々子の語る「戦時中の正論」を戦後きれいに見せようたって甘いんだよ。あの脚本で悪役とか言われてもおじさん参っちゃうな。って感じ。前半はそこまでひどくなかったらしいが、これで戦争は悲惨とか言われてもなー。

　戦争は悲惨だ。でも理屈で語られる戦争の悲惨さも悲惨だ。言葉で語りつくせないところに戦争の悲惨さってあるんじゃないの？　現代の日本にいる戦争を知らないわたしたちが頭で「戦争は悲惨だ」って語れると思ってるほうが問題なんじゃないの？

　犯罪はいけない。戦争は悲惨だ。そんなの誰もが頭ではわかってるだろう。でも言葉だけでは感じられないものを忘れて全部言葉で語ってしまったら、薄っぺらい反戦論になるなあと思った。むかつくと分かっていたのに最後だけ見てしまった自分にもむかつくが検索したら「感動した」と書いてる人がけっこう多くてそこにも頭を抱えた。ナンシー関が揶揄したくなる気持ちもわかる気がした。

ああ〜、物語の力は偉大ですね！！！　（ヤケクソ）