そうさおまえはスターゲイザー

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

刹那と逸脱

ぼんやりと生きてきた私にとって、唯一の夢のようなものだったのは、作家。自分ではまったく憶えていないけれど、まだ小学校に上がる前に将来の夢を聞かれて作家と答えたそうだ。その夢はかなわなかったけれど、いまは、自分ができることでいちばん楽しいことを仕事にできたと思う。

中高生のときは(これまたぼんやりと)漫画家になりたかったけど、技量と情熱が足りなかった。そのころよくやっていたのが、絵の模倣と、マンガを文章化すること。だいたい冒頭のシーンを書くと満足してやめてた。物語の始まる感じが自分をわくわくさせるものだったのかもしれない。

文体にしても絵柄にしても作ろうとして自分だけのものができあがるわけではなく、最初は、アレいいな、と思ったものを真似したり、再構築してみる。そうすると、なぞりきれない“点線”があって、そこからの逸脱が自分の実線になっていくのではなかろうか。

そういう逸脱した実線を描けるひとが、オリジナルのプロという気がするなあ。自分にできることは点をうつところまでだった。

刹那的な人間は点はうてる。でも、つなげない。はみだせない。逸脱したパワーの持ち主は、打たれた点ではないところに実線を描ける。と、いうようなことをふと思いました。

雁須磨子さんの「つなぐと星座になるように」というマンガのタイトルがすごく好きなんだけど、星が見られる人、星座を作れる人、同じものを見ていても違う。そして、星自体見えない人もいる。なにかを作る、ということは、そのようなことだと感じる。

スターゲイザーは星を見つめるもの、という意味で、天文学者、とか、占星術師、とか、夢想家、という意味がある。らしい。編集者は言い換えると、スターゲイザーなのかも。

星を見る力に長け、かつ逸脱した想像力をもつ者だけが、星座を作れる。